お彼岸に結婚式は縁起がわるい? 非常識?

結婚式

お彼岸といえば、家族でお墓参りをし、ご先祖様に思いをはせる日。供養の日。古来から、なのかは知らないが、日本人ならだいたいの方がやっていることだ。もとをただせば、故人を供養することにより、生きているわれわれも極楽浄土へ行くことができるということなのだとか。

そんな日に、結婚式ってありなんだろうか?

お彼岸に、結婚式。一見すると不釣り合いで、もしや非常識で縁起が悪いんじゃないの、と思えるこの行為を是非を考えてみた。

お彼岸の時期

まず確認しておくべきはお彼岸の時期だろう。春と秋、2回あるお彼岸は正確にはいつなのか。

お彼岸は、春分の日と秋分の日、それぞれを中日として、そこへ前後の3日間が加わった7日間である。けっこう長い。具体的には……

時期
春彼岸 3月17日から3月23日
秋彼岸 9月20日から9月26日

このあいだにお墓参りをしたり、おはぎを食べたり、親戚の子供と遊んだり、先祖のことを思い出したりする。ちなみに、この期間に先祖たち自身があの世からこちらへ戻ってくることはない。

「えっ、ナスとかキュウリの乗り物に乗って戻ってくるんじゃないの?」

いや、それはお盆だ。お盆は8月で、また別の行事である。

「てか、オヒガンってなんなん? 真ん中だけ残した髪の毛をツンツン逆立てたやつ?」

それはモヒカンだ。

お彼岸というのは、もともとの意味をいえば「あっち側」のこと。つまりはあの世のこと。「岸」とあるのは三途の川を意識してのネーミングだろう。ちなみに「こっち側」、この世のことは此岸(しがん)という。

お彼岸に結婚式は縁起が悪い? 非常識?

では、お彼岸の時期に結婚式を挙げるのは縁起がわるいのかというと、そんなことはまったくない。もしそんなことを言う親戚縁者がおれば、その人は何か間違えている。

まあ、気持ちはわからなくはない。

お彼岸といえば先祖、仏に手を合わせる日。お墓に行く日。つまり、死のイメージがかなりある。なんとなく仏滅っぽい。となれば、ハレの日である結婚式をするのはどうなのか。やめた方がいい。――こういう発想になるのもわかる。

が、それはただの連想に過ぎず、仏教的にも、お寺的にも、縁起の悪いことは何もない

では、非常識かというと、これもそうは言えない。

なかにはそう思う人もあろうが、それはごく一部の地域、あるいは世代の「常識」に照らして非常識としているだけで、一般的には非常識とは言えない。

ひとつだけひっかかる部分があるとすれば、それはシルバーウィーク、つまり連休とのかねあいだ。たとえば今年2017年は9月19日と22日がシルバーウィークとなっている。秋のお彼岸の前半部分とかぶっている。となると、この時期に旅行に行きたい人もいるだろう。すると、結婚式の日取りと被ってしまい、不都合なことになる。

こうしたことを避けたいなら、お彼岸の結婚式は避けた方がいいかもしれない。

とはいえ、この時期にどうしても式を挙げたいという新郎新婦もいらっしゃるはず。ちょうどそのあたりが二人にとっての記念日だったりすると、他の日にずらしたくないということもある。出産との兼ね合いならずらしたくてもずらせない。そんなときは、無理をしてまでずらす必要はない。縁起がわるいなんてことはないのだから、他の事情を優先すべきだ。

お彼岸の結婚式、費用は安いの?

では、お彼岸のときに結婚式を挙げると、費用は安くなったりするんだろうか? これは、あまりならないようだ。

結婚式の費用は、要は「式をあげたいカップルが多いかどうか」によって決まる。ここから考えれば、費用の高い時期、低い時期というのは明白だ。7月8月の暑いさかりの時期や、年末年始あたりの寒い冬は結婚式をする人が少ないため、費用は安くあげる。

秋彼岸の9月はどうかというと、暑さ寒さも彼岸までというくらいだから、お彼岸のころにはそれほど厳しい暑さではなくなっている。とすると、値引きにはあまり期待できない。ただし、そもそも「9」という数字の縁起のわるさを気にして避けようとする人も多少いるらしいので、10月11月に比べればいくらか安くなるかもしれない。所詮、この程度のことだ。

ちなみに、大安なら高いし、仏滅なら安くなる。これはお彼岸の時期に限らず、いつでもそうだ。

最後に

お彼岸の結婚式は、仏教の観点からすると別に縁起はわるくない。特に気にする必要はなさそうだ。

ここまでの文章を書きながら、ふと「大安」とか「仏滅」とか「縁起のいい日」とは何かということを考えた。たぶんそれは、こういった日取りのよしあしを常識として共有しておくと、何かと都合がよかったからだろう。

もし大安や仏滅といった決まりがないと、同じ日にあちらでは結婚式をし、こちらでは葬式をやっているということになる。場合によっては、親戚の葬式と親友の結婚式、どちらへ行くべきか選択を迫られるなんてことになるかもしれない。あるいは、ハネムーン行きの車と霊柩車がすれ違って、お互いに気まずい思いをするかもしれない。そういった不都合を避けるための「常識」だったのだろう。

けれど、今ではそんな常識もだいぶ希薄化し、通用しなくなっている。

別に、いつやったっていいんじゃない?