ネットの著作権問題について|YouTubeやSNSの埋め込みは無断でOK?

著作権問題

サイトやブログの運営で気を付けるべき著作権の問題。ついうっかり他人の画像を無断使用などしてしまえば、著作権法違反で損害賠償を請求される可能性もある。2016年12月にはWELQ問題が起こり、画像の無断使用がクローズアップされた。

無自覚にサイトやブログの記事を書いていると、うっかり違反してしまいがちな著作権法。なるべく実践的な具体例を挙げつつ、オーケーな部分とだめな部分を調べてみた。……思ったよりも、難しいよ?

サイト運営で気を付けたい著作権

まずは、著作権の基本を確認しておこう。そもそも「著作物」とは何か? これは著作権法でこう決まっている。

思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの

だから、論文や小説などはもちろん著作物だし、映像作品や楽曲もそうだ。しかし一方、あまりに短い文章であったり定型的な文言は著作物とはならない。また法律の条文や判決文、料理のレシピも著作物ではない。将棋の棋譜も、この範囲には含まれなさそうである。

著作物とされたものは、それを生み出した人が著作権を持つ。これには登録や申請などはまったく必要ない。だれにも知られずひっそりと書いた一枚の絵であっても、描いた瞬間に著作権は生まれる。よくウェブサイトの下の方に気取った感じで”All rights reserved.”などと書いてあるが、こんなのは書いてなくても著作権は生じるので、実は無意味なのだ。

では著作権とは何かというと、「著作物の利用に関する、さまざまな権利の束」と思っていただきたい。著作物の利用の仕方はさまざまあるが、その権利をまとめて著作権と呼んでいる。たとえばこんな権利がある。

  • 公表権
  • 複製権
  • 出版権
  • 翻訳権
  • 展示権
  • 上演権
  • 演奏権

これらに違反し、著作権者に告訴されると、こんな罰則が待ち受けている。

著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金

さらに、民事の方でも侵害行為の差し止め、損害賠償や不当利得の返還請求を受ける可能性がある。うっかり侵害してこんなことにはなりたくないものだ。

では、サイト運営で注意すべき具体的なポイントをケース別に見ていこう。

フリー素材

みんな大好き、フリー素材。その名の通り、著作権フリーで使用することができる。このサイトで使用されているのも、ほとんどがこのフリー素材だ。

ぱくたそ、写真AC、いらすとや、Pixabayなど、フリーの素材を提供しているサイトはたくさんある。ぜひ、どんどん利用しよう。最近はどこもかしこもいらすとやの画像を使っている。こういう絵柄、ほぼ毎日のように見るでしょう?

4人で万歳

ただし、いくら「フリー」と言っても、何をしてもいいというわけではない。利用できる範囲については、それぞれのサイトで利用規約をよく読む必要がある。私的な利用はオーケーだがビジネスに使ってはいけないとか、1記事につき20枚が上限とか、画像を加工してはいけないといった制約があったりするので、注意が必要である。

キャプチャ画像

フリー素材ではないけれど、他のサイトにあった画像やイラストや図、あるいはサイト自体をキャプチャして自サイトに載せたい場合というのがある。これはどこまでやっていいのだろうか?

ここはグレーゾーンが広いで難しいのだが、引用だと書かずにキャプチャ画像を掲載するのはアウトなようだ。まあ、これは常識で考えれば分かるだろう。

他人のサイト内の画像やイラストや図、つまり一部分を切り抜いて利用していいかというと、これはかなり微妙なようだ。出典を示すことが必要なのは言うまでもないが、それさえ書いておけば万事オーケーとも言い切れない。

最後に、サイト自体をキャプチャして引用する場合だが、これは引用元をしっかりと書けばオーケーということらしい。ただし、一部分を恣意的に黒塗りにしたりモザイクをかけたり、改変してはいけない。明らかな誤字脱字があったとしても、そのまま引用しよう。

松居一代ブログ

ちなみに、引用する場合にはHTMLに専用のタグがあるので、それを使うといい。

引用タグ

<blockquote cite=”引用元url”>

<p>○○○○</p>

<footer>引用元:<cite><a href=”引用元url”>引用元ページ名など</a></cite></footer>

</blockquote>

埋め込み

最近よく見かけるのが、YouTubeや各種SNSの埋め込みである。もともと動画サイトやSNSに標準装備で埋め込みの機能があるので、それを利用するとたいへん手軽にそういったコンテンツを自サイトに置くことができるのだ。

たとえば、他人の動画や、写真を含むツイートを自分のサイトに無断で掲載する。これは思いっきり著作権違反のように見えるが、実はまったく問題ない。というのも、そもそもYouTubeやSNSの規約には、それをオーケーとするような条項が含まれているから。

補足
今、初めてワードプレスにツイートを埋め込んでみたのだが、Twitterの埋め込みタグが使用できなかった。その代わり、ツイートのURLを直に、ビジュアル・モードでペーストしたら、上のようにきれいに埋め込むことができた。

YouTube、Twitter、Instagramなど、最近主流の動画サイトやSNSは、アカウントを作るときに、「他の人が勝手にサイトに載せてもオーケーです」という規約を承諾しているのである(どれだけの人が規約をちゃんと読み、理解しているのかは分からないが)。

YouTube

お客様は、YouTubeの事前の書面による承認なく、本サービスまたは本コンテンツのいかなる部分(本コンテンツ(以下に定義します。)を含みますが、これに限られません。)をもいかなる媒体によっても配布しないことに合意します。ただし、YouTubeが、かかる配布を可能にする本サービスの機能(Embeddable Player等)を提供している場合は除きます。

「ただし」のあとが重要だ。つまり、YouTube側で用意されている「埋め込み」の機能を使えば、オーケーと言っているのである。

ただし、そもそも違法にアップロードされた動画は規約違反だし、埋め込んでもいけない。自サイトにYouTube動画を埋め込む場合は、その動画自体が著作権に違反していないか考えてみる必要がある。

また、動画の埋め込みはいいのだが、動画をキャプチャして、その画像を貼り付けるのはダメ。同じようなことに思えるが、キャプチャした画像を他のサーバーにアップして公開してしまうのはよろしくない。埋め込みの場合、あくまで元情報はYouTubeのサーバー内にあるだけだから許容されるのである。

Twitter

ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介してコンテンツを送信、投稿または表示することによって、当社があらゆる媒体または配信方法(既知のまたは今後開発される方法)を使ってかかるコンテンツを使用、コピー、複製、処理、改変、修正、公表、送信、表示および配信するための、世界的かつ非独占的ライセンス(サブライセンスを許諾する権利と共に)を当社に対し無償で許諾することになります。このライセンスによって、ユーザーは、当社や他の利用者に対し、ご自身のツイートを世界中で閲覧可能とすることを承認することになります。(……)ユーザーが本サービスを介して送信、投稿、送信またはそれ以外で閲覧可能としたコンテンツに関して、Twitter、またはその他の企業、組織もしくは個人は、ユーザーに報酬を支払うことなく、当該コンテンツを上記のように追加的に使用できます。

かなり難しく書いてあるが、要は、「ツイートするんだったら、他の人が勝手にそれを紹介しても文句を言わないでくださいね」という内容になっている。テレビでもたびたびツイートの紹介などをしているが、こういう規約があるから使いやすいのだろう。

ちなみに、中には律儀な人もいて、わざわざ私のツイートを「NAVERまとめに使っていいですか?」とお伺いを立ててきた方もいる。もちろんオーケーしたが、規約から考えれば、こういう承諾を得る必要もないということだ。

Instagram

ちょっと根拠になる規約の条文を見つけられなかったのだけれど、InstagramもTwitter同様、そのままサイトに他の人の書き込み内容を埋め込んで構わない。

🍩🤔🍪

A post shared by ROLA (@rolaofficial) on

マンガ

ネットを見ていると、マンガの画像をよく見かける。2ちゃんねるのまとめサイトでも、個人のブログでも、「フリー画像か!」というくらいマンガはよく使われている。

それも本来ならアウトなのだ。マンガは完全に著作物であり、著作者の承諾がなければ使ってはいけない。

ところが、著作権法というのは親告罪といって、被害者が訴え出なければ問題にならない。作者や出版社が「自分の画像を勝手に使われた。著作権侵害だ!」と言わなければ、第三者が騒いだとしても問題ない。

というわけで、おそらくマンガはほとんどの場合はお目こぼしされているのだろう。著作権者の方からしても、いちいちネットで使われているものに対して指摘していたら面倒だし、あまり意味がない。

また、マンガの場合は同人誌という文化もある。同人誌ではマンガの内容が勝手に翻案され、使用されているが、それに対していちいち著作権法違反ということで告訴したりはしていない。がっつりとビジネスとしてやって金儲けをしたり、悪意ある利用方法であったりしなければ、マンガの世界は寛容なのだろう。

ちなみに、マンガの場合もやはり引用は問題ない。

カミィ
引用元:週刊少年ジャンプ32号「ハンター×ハンター」より

本の内容を引用する場合、ルールは明確だ。というか、ここまで説明してきたものすべて、基本的なルールは書籍での慣習が下敷きになっている。

本の内容を引用するときは、作者名、書名、出版社、出版年、ページ数を示すのが慣習だ。まあ、ネットで軽く引用する程度なら、作者名、書名だけでもいいかもしれない。

もちろん、本の場合もあまり長く何十ページにも渡って書き写してはいけない。それは引用の範囲を超えてしまう。長くてもせいぜい1ページ分くらいが限度ではないだろうか。

「ここで何をしてるのかって、聞いてんのよ!」

今度はすべてを振り払ったかのような、感情剥きだしの怒声を張り上げてくる。

その、アタマに突き刺さってくる程のヒステリックな大声に、貫多は思わず捩じ曲げていた首を戻して肩をすくめたが、驚いたことにこのとき件のブタ女房は、俯伏せになっている彼の上半身の方へ、何やらズンズンと踏み込んできたのである。

これに虚を衝かれた貫多は、横臥したままの体勢でのけ反るようにして体を開いた。その顔の下辺に置いてある、今しがたまで目をさらしていたエロ本を隠す余裕は到底ない。

引用元:西村賢太『蠕動で渉れ、汚泥の川を』集英社,2016年,239ページ

「無断引用」という言葉について

小保方さんのSTAP細胞騒動のときから、たびたび「無断引用」という言葉を聞くようになった。だが、この言葉には問題がある。

そもそも論文や書籍で他から引用する場合は無断でやるのが普通なのだ。「あなたのこの本のこの部分を引用させて欲しいのですが、よろしいですか?」なんて断ってから引用する人はまずいない。だから、「無断引用」というのは冗長な言い方でもあるし、さらには「無断での引用はだめ」との誤解を生む。

小保方さんの件で問題となったのは「引用」ではなく、「剽窃(ひょうせつ)」である。引用符を付けず、出典も示さず、あたかも自分オリジナルであるかのように他人の書いたテキスト・表を使ったら、それは剽窃なのだ。決して「無断引用」ではないので、ご注意を。

最後に

以上、サイト運営に関係する著作権の問題について考えてみた。YouTubeやSNSのルールや規約ではっきりと定められているので分かりやすいし、書籍に関しては昔からのルールがあるからこれも明確だ。

けれど、他のブログやサイトの引用に関してはまだはっきりとしたルールがなくて厄介だ。ネットを視野に入れた著作権法の改正もあったらしいが、実用的かつコンセンサスのある規制とはなっていない。結局、親告罪であることから、著作権者の意向次第というところが大きい模様。

とりあえず、規約で決まっている部分はそこに従っておき、他は常識の範囲内での引用にとどめておけば、特段問題はないだろう。