隣人がベランダで吸うタバコに迷惑! 対処法や法的な扱いは?

ホタル

喫煙者にとって、受難の日々が続いている。新幹線も全面禁煙、喫茶店や飲食店も禁煙、路上喫煙もだめ。そんな禁煙の流れの中で、とうとう自宅マンションのベランダでの喫煙までも問題視されてきている。

隣人がベランダでたばこを吸って迷惑だ。洗濯物が臭くなる。呼吸器官に悪影響がある。小さい子供がいるのに……。非喫煙者からしても、ベランダでの喫煙は頭痛の種だろう。

私自身は喫煙者なので、やや喫煙者側に味方してしまうからもしれないが、なるべく中立的な観点でベランダでの喫煙問題について考えてみたい。

ベランダでたばこを吸ってたら隣人に怒られた話

まずは経験談をひとつ。私は二十歳くらいの頃大学生で一人暮らしをしており、そのときはベランダでタバコを吸っていた。ワンルームの室内で吸うと臭いもこもるし壁紙を汚れる。延いてはあとあと退去時に敷金も引かれてしまう。というわけで、いつもベランダで吸っていた。古い言葉で言えばホタル族である。

そんなホタル生活を三年ほど続いていたある日、管理会社から一本の電話が入った。ベランダでの喫煙に関する苦情だった。

「ベランダでの喫煙で煙が流れてきてしまうという苦情がありまして、煙が流れないように工夫していただきたいのですが」

とか、そんな内容だった。

ただし、「ベランダでの喫煙をやめて欲しい」ということは言われなかった。むしろ、「ベランダでの喫煙を禁止することはできないのですが」といった留保が付いていた。まあ、極力気を遣って欲しい、くらいの言い方だった。

たしかに、それまで二、三年大丈夫だったので油断はしていたが、副流煙が他の部屋に流れていくことはある。そう気づいた私はそれ以来キッチンの換気扇の下でタバコを吸うようになった。キッチンあたりは若干タバコ臭くなるが、致し方ない。

けれど、自分の部屋の一部であるベランダでも自由にタバコを吸えなくなるなんて、どんだけ肩身が狭くなるんだと思ったものだ。

隣人のベランダでの喫煙に迷惑している人々

そんな出来事があったのが2008年あたり、もう9年も前のことになるが、今でも隣人のベランダでの喫煙に関して悩んでいる方が多数おられる様子。悩み相談のサイトを軽くチェックしてみるだけでも、苦しみの声がたくさんある。

先日、アパートの管理会社から、隣人からの苦情を伝えられたのですが、その内容は隣人がベランダでたばこを吸っているときに私たちが窓を閉める音がうるさいというものでした。

管理会社からは、ベランダで喫煙することは禁止されていないので、私たちに窓の閉める音を気を付けてほしいと言われました。こちらとしては、普通に窓閉めていたのですが、隣人からすると喫煙に対する嫌がらせに聞こえるそうです。

(中略)

こちらが嫌がっているのがわかっているにも関わらず、ベランダで吸い続けたばかりか、苦情まで言ってくるなんて。

今の賃貸マンションに引越してきて約1年になりますが、入居当初から隣人のベランダでの喫煙に本当に困っています。

隣人は30代の男性で相当なヘビースモーカーらしく、1時間に1,2度はベランダでたばこを吸っています。

どんな仕事をしているかは知りませんがこちらが夜仕事から帰ってくる時間には毎日既に自宅におり、エアコンをつけるほどでもない時期に部屋の窓を開けて換気したくてもできないほど常にたばこの煙が漂ってきます。

こういった書き込みは枚挙にいとまがない。けれど、こういった悩み相談に対する答えはどれも決定打に欠けている。根本的な解決策がないというのが現状のようだ。たとえばどんな対策、どんな対応がありうるかというと……

  1. ベランダで喫煙している人に直接やめてくれるようお願いする
  2. 管理会社等を通じて苦情を伝える
  3. 大きな音で窓を閉めるなどして無言のメッセージを伝える
  4. 警察・弁護士に相談する

こんなところ。おおむね、騒音の場合と似たような対応となる。

けれど、そもそも法律的にはどうなのだろうか?

ベランダでタバコを吸うのは違法? 裁判例は?

ベランダ

結論から言ってしまうと、自宅ベランダでタバコを吸うのは違法ではない。今のところは条例にも違反しない。個人の自由だ。

マンションのベランダは、一応は共用部分ということになっている。つまり、廊下やエントランスなどを同じ扱いである。ただし、専用使用権が認められている。廊下に観葉植物や自分の荷物を勝手に置いていたらだめだが、ベランダなら、避難のときの妨げにならない範囲で、自由にものを置いていい。これは、専用使用権があるからだ。

というわけで、基本的にはベランダで喫煙をすることはオーケー

ただし、ベランダで喫煙をしていたために裁判となったことがあり、喫煙者側が慰謝料を請求された判例もある。孫引きとなって申し訳ないが、平成24年12月13日、名古屋地裁でこんな判決が出された。

このケースは、マンションに住むBさん(原告)が、真下に住むAさん(被告)に部屋のベランダで喫煙を継続していることで、Bさんの居室ベランダや室内にタバコの煙が流れ込み、それが原因で体調を悪化させ、精神的肉体的損害を被った、としてAさんに対し150万円の損害賠償の支払いをBさんが求めた事案です。

裁判所は、「タバコの煙が周囲の者の健康にも悪影響を及ぼす恐れがあることは公知の事実」「マンションの使用規則がベランダでの喫煙を禁じていない場合であっても、他の居住者に著しい不利益を与えていることを知りながら喫煙を継続し、何らこれを防止する措置を取らない場合には、喫煙により損害賠償義務を負う場合がある」として、Bさんの主張を一部認め、Aさんに対し5万円の慰謝料の支払いを命じました。

引用元:Mocosuke:隣りのベランダからくるタバコ…法律は助けてくれる?

このように、喫煙者側が敗訴している。

とはいえ、150万円を請求していて、支払いを命じたのは慰謝料の5万円だけ。おまけにこれは民事裁判で、しかも地裁の判決である。あまり大きな意味のある判決ではなさそうだ。

もし自分が訴えた側だったら、体調まで悪くしたのにたった5万円? それで勝訴? ふざけんな、と思うだろう。逆に、訴えられた側だったら、裁判まで起こされたけど結局5万円ぽっちで済んでラッキーと思うに違いない。

現在のところ、法律も裁判所も、この問題ではあまり力になってはくれそうにない。

また、警察に110番したらどうかという発想もあろうが、基本的に警察は民事不介入といって、刑事事件でなければ積極的に介入してくることはしない。タバコの煙が流れてきたくらいではほとんど何もしてくれないだろう。

喫煙者はベランダからも駆逐される運命?

現状では、ベランダでの喫煙はまだ許容されている。けれど、これも早晩条例などで禁止される可能性はある。小池百合子東京都知事は都議選のときの公約として「子どもを受動喫煙から守る条例」というものを提示していたのだが、これは、子どものいる世帯では自宅も車もすべて禁煙にするという条例である。

この条例が施行されたとしても、自宅に子供がいなければベランダでタバコは吸えるわけだが、しかしここまでエスカレートすれば、同時にベランダでの喫煙も規制されるはずだ。ホタル族は、ホタルより先に絶滅するかもしれない

あるいは、室内も含めて全面禁煙のマンションというのも出現しているらしい。これは喫煙者にとっても非喫煙者にとっても嬉しい措置だ。最初からすべて禁煙にしてしまえばトラブルも起こりえない。こういうマンションはまだ少ないので、一棟まるごと禁煙にするというのはビジネス・チャンスがありそうだ。

ただし、現状でどう対処すればいいかというと、これぞという対応策がない。窓を占めてエアコンを入れる。手紙や対面で、ベランダでの喫煙を控えてくれるようにお願いする。管理会社を通じて苦情を入れる。そんな、だれでも思いつく方法しかない。

Win-Winの解決策とは?

きのこ

私がベストだと思う解決策は、マンションの中に喫煙所を作ってしまうことだ。実は、二年ほど前に住んでいたマンションにはそういう場所があった。階段の踊り場がやや広いマンションだったのだが、1階から4階まで、各階の踊り場に灰皿が設置してあり、しかも、オーナーである管理人さんがきちんと手入れをしてくれていた。

そういった場所があればベランダからの煙が部屋にまで入り込むことはなくなる。部屋から出るめんどくささはあるが、ちょっと玄関から喫煙所までならすぐだ。場合によっては住人同士の交流の場になるかもしれない。

非喫煙者の人がそこを通るときは不快かもしれないが、一瞬通り過ぎるときに煙がにおうくらいは、まあ、大丈夫だろう。というか、そういうマンションだというのは入居時に見れば分かるので、イヤな人は他を探せばいい。

……とはいえ、すべてのマンションでそんな喫煙場所を設置することはできないだろうし、なかなか難しいところだ。副流煙を避けたい気持ちも分かるし、喫煙者としては、多少寛容になって欲しいとも思う。