カフェインの摂りすぎで死者も? コーヒーの意外な真実とは……

私は毎日コーヒーを飲む。あさはUCCの「職人の珈琲」というドリップコーヒーを淹れて飲み、お昼にはたいていコンビニで買ったタリーズ・バリスタ・ブラックを1本。さらに、夕方にもう1本別の缶コーヒーを飲むこともある。夜にまたドリップコーヒーを飲むことも。

となると、多い日で4杯のコーヒーを飲んでいる。これってもしや、カフェインを摂りすぎてはいないだろうか? こんなにカフェインを飲んでいて、実は知らず知らずのうちに私の肉体が蝕まれているのではなかろうか?

少し心配になったので、カフェインの効果や害、副作用、どれくらいなら飲んでいいのか調べてみた。

カフェインはどれくらいの量で摂りすぎになる?

私が現在摂取しているカフェインの量を調べてみた。上に書いたように、1日にドリップコーヒー2杯、ボトル缶コーヒー2杯、合計4杯のコーヒーを飲んだとしよう。

すると、まずドリップコーヒー1杯でカフェインはだいたい100mgほど。もちろんコーヒーの種類によるし、淹れ方や量によるので正確ではないが、だいたいこんなものだろう。次にタリーズのバリスタ・ブラックだが、これは簡単。「カフェイン60mg/100ml」と明記されている。内容量は390mlなので、234mgである。2本飲めば468mgとなる。

マウスの横には常にバリスタ

というわけで、ドリップコーヒー2杯とバリスタ・ブラック2杯、合計して668mgのカフェインを1日に摂取していることになる。

では、カフェインを1日にどれくらい摂ると過剰摂取となるのだろうか? 基準が何かないか調べてみたところ、国内では特にこれといった基準がなかった。厚生労働省が何か基準めいたものを出してるかとも思ってサイトを見てみたが、ここも国際機関の注意喚起を引用しているだけ。

まあ、それでもいいので、健康問題のご意見番・世界保健機関(WHO)の発表した情報を見てみよう。厚労省のサイトからの孫引きとなるが許して欲しい。

紅茶、ココア、コーラ飲料は、ほぼ同程度のカフェインを含み、コーヒーにはこれらの約2倍のカフェインが含まれている。このため、カフェインの胎児への影響についてはまだ確定していないが、妊婦はコーヒーの摂取量を一日3~4杯までにすべき。

(参考)WHO:Healthy Eating during Pregnancy and Breastfeeding,Booklet for mothers,2001
http://www.euro.who.int/__data/assets/pdf_file/0020/120296/E73182.pdf

だめだ。妊婦についてしか書かれていない。けどまあ、妊婦が4杯飲んでいいなら、健康な成人男性である私はもっと飲んでも大丈夫だろう。

次にカナダ保健省(HC)の注意喚起を見てみる。

・少量のカフェイン摂取はほとんどのカナダ人にとって懸念はないが、過剰摂取は不眠症、頭痛、イライラ感、脱水症、緊張感を引き起こすため、特に子供や妊婦、授乳中の女性は注意すること。
健康な成人は最大400 mg/日(コーヒーをマグカップ(237 ml入り)で約3杯)までとする。
・カフェインの影響がより大きい妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は最大300 mg/日(マグカップで約2杯)までとする。
・子供はカフェインに対する感受性が高いため、4歳~6歳の子供は最大45mg/日、7歳~9歳の子供は最大62.5mg/日、10歳~12歳の子供は最大85mg/日(355ml入り缶コーラ1~2本に相当)までとする。
・13 歳以上の青少年については、データが不十分なため、確定した勧告は作成しなかったが、一日当たり2.5mg/kg 体重以上のカフェインを摂取しないこと。

(参考)Health Canada Reminds Canadians to Manage Caffeine Consumption(2010)
http://www.healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2010/13484a-eng.php

というわけで、カナダ保健省の見解としては、健康な成人の場合のカフェイン摂取量の目安は1日400mg程度までということである。

私の場合、多い日の摂取量668mgというのはかなりオーバーしていることになる。だが、1日4杯飲む日というのはかなりめずらしく、たいていはドリップコーヒー2杯、ボトル缶コーヒー1本というところなので、ぎりぎり収まってはいるだろう。

カフェインのメリットと過剰摂取による副作用とは?

さて、カフェインの摂りすぎはよくないらしいが、しかし、メリットもある。どんなプラスの効果があるのか、ちょっと見てみよう。列挙すると、まずはこんなところである。

  • 覚醒作用(眠気覚まし)
  • 鎮痛作用
  • 疲労解消
  • 集中力・記憶力の向上

いずれも実感として納得できる。勉強中、仕事中にコーヒーを飲むと、パフォーマンスがアップするように感じるものだ。

さらに、農林水産省のサイトを見ていたら、気になる記述があった。「コーヒーは、適切に摂取すれば、がんを抑えるなど、死亡リスクが減少する効果があるという科学的データも知られています」と書かれていたのだ! 正直、がんを抑えるとか、死亡リスクが減るなんていう作用は知らなかった。

この根拠となっているのは国立がん研究センターが行なった実験結果だ。それによると、なんと毎日コーヒーを飲む人ほど肝がんの発生率が下がるというのだ。これは9万人を対象とし、10年間経過を見た実験結果なので、かなり信頼できる。

実験結果を見ると、コーヒーをほとんど飲まない人の肝がん発症率を1とすると、ほぼ毎日コーヒーを飲む人は0.49とほぼ半分、毎日5杯以上飲む人となると0.24となっている。下のグラフを見れば一目瞭然だ。

コーヒーと肝臓がん

国立がん研究センターに掲載されているグラフ

コーヒーを飲めば飲むほど、肝がんの発症率ががくんと下がっていくのである。

これはコーヒー摂取量に着目した研究なので、カフェインの効果かどうかはわからないが、ともかくコーヒーの意外なメリットを発見できた。

一方、カフェインにはどんな副作用があるのか? たとえば、このようなものがあるらしい。

  • めまい
  • 心拍数の増加
  • 興奮
  • 不安
  • ふるえ
  • 不眠
  • 下痢
  • 吐き気

やはり、覚醒作用があるわけだから、飲みすぎると不眠になったり中枢神経がおかしくなったりするようだ。

それと、こういった日常的な不調のほかにも、短時間にカフェインを摂取しすぎた場合には死亡することもあるらしい。2017年5月16日、アメリカのサウスカロライナ州で16歳の少年が不整脈で死亡し、検死官によれば、その引き金となったのはカフェインの過剰摂取だったとのこと。少年は短時間のうちにカフェラテ、マウンテン・デューという清涼飲料水、エナジードリンクを立て続けに飲んだという。

ただし、こんなにカフェイン入り飲料を一気に飲むことなど普通はないし、アメリカであったひとつの事例に過ぎないので、あまり参考にはならない。カフェインの飲み過ぎで死ぬことはめったにないと考えてよさそうである。

おれはコーヒーを飲むのを辞めない

無数のバリスタ

以上のように、カフェインの摂取量は1日に400mg、だいたいコーヒー3、4杯に抑えておいた方がいいということがわかった。適量ならば覚醒作用があったり頭が冴えたりするが、デメリットもあるのだ。

では、私は今後、コーヒーを飲む量を減らすのかというと……減らしません!

日常的に3杯飲んで、たまに4杯飲むくらいならカナダ保健省の基準にだいたい収まっているし、やはりいちばん大きな理由は肝臓がんの発症リスク低下である。

たまにコーヒーの飲み過ぎで気持ち悪くなったり、多少寝つきが悪くなったとしても、長期的に見て肝臓がんになる可能性が半分とか1/4とかになるなら、ぜったい飲んだ方がいい。エナジードリンクの飲み過ぎで死んだという人も少しはいるらしいが、万単位の人数を対象に行なった実験結果でがんのリスクが減ったという方がはるかに注目に値する。

というわけで、これからもどんどんコーヒーを飲み、がんがんカフェインを摂っていこうと思う。