不用品の買い取りということで自宅を訪問してきたリサイクル業者。最初は服や家電、書籍の買い取りだけのつもりだったのに、気づいたら貴金属を安い値段で根こそぎ持っていかれてしまった!
と、そんな「押し買い」というものが問題となっている。本来なら数万、数十万の価値があるものをタダ同然で持っていかれるとなれば、被害は甚大だ。
ここでは「押し買い」の実態と対策をお伝えしよう。
もくじ
押し買いとは?
「押し売り」というのは昔からある。いきなり自宅に訪問してきて、特に欲しくもない高額な浄水器や布団などを売りつけてくるあれだ。けど、いまは「押し買い」の被害が増えている。
手口としてはこんな感じだ。電話口やインターホン越しに、こんなふうに話しかけてくる。





ということで業者が自宅にやってきて、最初は事前に話していたものを買い取る。が、「他にも貴金属などございませんか? アクセサリーなどあるとありがたいのですが」などと言ってきて玄関先に居座り、最終的には強引な態度で貴重品を買い叩くわけだ。
もちろん、業者の狙いは最初からこの貴金属やアクセサリー類だったのである。
押し買い被害の増加

被害は年々増えている。押し買いに関する国民生活センターへの相談件数はこのように推移。相談者の7割が、自宅にいることの多い60歳以上の高齢者だ。
2013年 | 7,162件 |
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2014年 | 7,820件 |
2015年 | 8,602件 |
2016年 | 8,648件 |
また、2018年3月には札幌市の訪問購入業者リアライズ(屋号・リサイクルワン)とROUND TWOが特定商取引法違反で消費者庁により3ヶ月間の一部業務停止命令を受けている。
私(33歳)も、実家にいたとき、ちょっと怪しい買い取り業者の訪問を受けたことがある。しょっちゅう不用品の買い取りをしたいという電話はかかってきていたのだが、あるとき「書籍や服でも買い取る」という言葉に乗せられ、業者を呼んでしまった。
不用品を買い取ってもらえたのはよかったのだが、そのとき自分の母(61歳)が出てきて、「貴金属はありますか?」と言われて祖母の遺品をいくつか出してしまった。
買取の値段は安く、まあ、ほぼ二束三文であった。
業者は強引な態度だったわけではないし、母も自分から貴金属を出してきたので止めなかったが、どうも最初からそれが目的だったような気がしてならない。
冷静に考えると、かなりの価値があるかもしれない貴金属をよくわからない訪問買取業者に売ってしまうのは危険である。
押し買いは違法?

いきなり訪問してきて、あるいは事前アポがあったとしても、無理やり安すぎる価格で買い叩く「押し買い」は違法である。2013年2月には特定商取引法が改正され、次のような規制が設けられている。
- 飛び込み勧誘の禁止
- クーリングオフの適用
- 書面の交付義務
つまり、いきなり自宅に訪問し、家主からの依頼がないのに買い取り交渉をするのはだめ。取引・契約から8日間は解約ができるというクーリングオフを買い取りにも適用。それに、買い取りのときに業者の連絡先やクーリングオフ制度について記された書面を渡す義務が課せられたのだ。
ただし、大型家電・家具・自動車・書籍・CD類・有価証券は例外。
というわけで、「押し買い」は改正された特商法によりさまざまな規制をされている。……が、2013年にこの法律が施行され、その後も被害相談は増えているので、状況が改善されたわけではない。
押し買いは警察に通報していい?

押し買いは改正された特定商取引法に違反するのだが、もう一つ、ある罪に該当する。それは不退去罪だ。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
刑法130条
これは不法侵入の条文として有名だが、後半では「帰れ」と言われたのに帰らないことも罪として規定している。もしあなたが「帰ってください」と何度も言ってるのに居座るようなら、その業者は不退去罪を犯していることになる。
なので、もし何十分もしつこく居座られるようなら警察に通報して構わないということだ。最悪の場合は110番通報をしよう。
必見! 押し買いへの対策方法
とはいえ、なかなか警察に連絡というのは難しいに違いない。「帰ってくれ」と言い続けるのもしんどいものだ。そこで、他の解決法を3つ提案しよう。
1)クーリングオフ
すでに書いたが、買い取りにもクーリングオフが適用されるようになった。もともとは高額な買い物を8日間に限り取り消せるというものだが、買い取りでも解約ができる。
もし業者との間で買い取り契約が成立したとしても、8日間は品物を引き渡さなくてもいい。クーリングオフの期間である8日間は手元に品物を置いておき、そのあいだに「やっぱりやめよう」と思ったら契約をやめてしまおう。
2)訪問・出張買い取りは避ける
だが、「8日間も品物を渡さないんじゃ困りますよ」などと強い姿勢で言われたら、やっぱりクーリングオフの利用も難しいかもしれない。
何といっても、変な業者をうかつに家に入れないことだ。たとえば、電話口でこんなことを言われたとしよう。
「古い服や本、食器などでも構いません」
「切れたネックレスや片方だけのピアスでも結構ですよ」
こんなことを言われると、つい心が動く。いつか要らないものを処分しようと思ってたけど、ちょうどいい機会だから来てもらおうかな、なんて。でも、彼らの目的はまったく別のところ、タンスの奥に眠る貴金属やアクセサリーなどにあるのだ。
突然の訪問はもちろん、電話での勧誘もきっぱりお断りすべし。
3)今のうちに売ってしまう
押し買い業者が悪質なのは、品物を「相場よりも圧倒的に安く買い叩く」というところである。本来なら数十万円になったはずのものが数千円、数百円になってしまうところが悪質なのである。
それなら、先に信頼できる業者に適正な値段で買い取ってもらえばいい。自宅に価値あるものを眠らせているから業者のターゲットにされるわけで、品物がもうなければ、いくら業者が来たって押し買いされようがない。
被害を予防するためにも、眠っているだけの品物ははやめに処分してしまう方がいいだろう。
買い取りは宅配が安心

買取を依頼するなら、宅配が便利である。
宅配ならだれとも顔を合わさなくていいし、梱包・発送するのは自分だから、余計なものまで買われることはありえない。安心だ。スタッフとは一度も対面しないから、威圧されることもない。
さらに、最近の業者は値段に満足できなければ送料無料で返品してくれるし、相見積もりをとることも可能。安全かつ適正相場でモノを売るなら、宅配がもっともおすすめである。
おすすめ買い取り業者3選
宅配でさまざまな品物を買い取りしている業者3つをご紹介しよう。どれも定評があり、査定してもらうには安心の業者だ。
1)スピード買取.jp

坂上忍がイメージキャラクターを務めている大手の買い取り業者。着物・古銭・骨董品・洋服など、ほとんどの品物の買取をカバーしている。
相談・送料・査定料はすべて無料で、「他店より買取金額が1円でも安ければ全品返却します」と名言している。すごい自信である。まっさきに検討したい業者だ。
品目別申し込み先
洋服![]() |
着物![]() |
毛皮![]() |
時計![]() |
骨董![]() |
お酒![]() |
ダイヤモンド![]() |
アクセサリー![]() |
ブランド品![]() |
古銭・記念硬貨![]() |
切手![]() |
その他![]() |
2)ウルトラバイヤープラス
こちらもかなり多くの品物を買取してくれる。ウルトラバイヤープラスは食器も買い取ってくれるのがありがたい。
ここが便利なのは、スマホで品物を映すだけで即、査定をしてくれるというサービス。楽器や雑貨、ホビーやダイビング用品など、普通はなかなか買い取ってもらえないものまで査定の対象だ。
まずはスマホ査定を頼んでみるといいかもしれない。
3)おたからや
店舗数No.1の買取ショップ、おたからや。全国どこでも駅前などで見かける買取店だ。宅配も受け付けており、査定料・出張料・宅配料は0円。
ブランド物や貴金属はもちろん、楽器やカメラ、レトロなおもちゃや洋酒など、さまざまなものの買取を実施中。40年の実績がありTV出演も多数のため、信頼度を重視する人にはもっともおすすめだ。
まとめ
いま大きな問題となりつつある押し買いについてお伝えした。一人暮らしの高齢者が増えている昨今、まだまだ被害は拡大しそうである。
警察への通報やクーリングオフの活用など、いくつかの対策をご紹介したが、結局は変な業者を玄関に入れないことがもっとも大切である。ドアを開けてしまえば、強引にリビングまで押し入られる可能性もある。そうなったらもうほぼアウトだ。帰ってほしい一心で、何かしら差し出してしまうに違いない。
怪しい業者は電話口かインターホンの時点ですぐさまシャットアウト。もし売りたいものがあるなら、今のうちにしっかりした業者に宅配で買取してもらうようにしよう。