『マイティー・ソー バトルロイヤル』の感想|最高のスペース・オペラ・コメディ!

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マーヴェルの映画としては17作目、マイティ・ソーのシリーズとしては第3弾となる『マイティ・ソー バトルロイヤル』。予告編はなんだかちょっとB級映画臭が漂うつくりだったが、結果的にはかなり面白かった。大満足の一本である。

以下、このイカしたスペース・オペラの感想を綴ろう。ネタバレもちょっとあるよ。

『マイティ・ソー バトルロイヤル』の率直な感想

正直、この映画にはあまり期待していなかった。マーヴェルの映画は『アイアンマン』(2008)からすべて見ていて、マーヴェル大好きな私だけれど、この『マイティ・ソー バトルロイヤル』にはそんなにワクワクを感じていなかったのだ。

というのも、まず一番大好きなアイアンマンが出てこないし、ソーのギリシャ神話的な世界観がそこまで好きじゃなかったからだ。

さらに、予告編の影響もある。『スパイダーマン ホームカミング』は散々ネットでもテレビでも予告を見てて大作感があったが、こっちは割と直前までCMも流れていなかったし、そのCMも、なんだかちょっとチープな印象だった。それで期待感が下がっていた。

だが、蓋を開けてみれば、マーヴェルの映画の中でもかなり好きな映画だった。宇宙を舞台にしたコメディタッチが映画が好きなら、絶対にこれはハマる。

基本情報

原題:Thor: Ragnarok
公開:2017年11月3日
監督:タイカ・ワイティティ
上映時間:130分

『マイティ・ソー』(2011)と『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(米2013/日2014)に続く3作目のソー・シリーズ。実質的には『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)の続編となっている。ただ、『アベンジャーズ』(2012)さえ見ておけば最低限の基礎知識を仕入れておけるだろう。

あらすじ

突如、ソーとロキの前に現れた”死の女神・ヘラ”。彼女は強大な力によってアスガルドを征服しようとする。ヘラによって謎の星に飛ばされたソーはその星の支配者によって開催されるバトルに出場し、離れ離れになっていたハルクと再会、危機に瀕するアスガルドを救うために奔走する。裏切りを繰り返す弟ロキと、かつて英雄だった女とともに——。

『マイティ・ソー バトルロイヤル』は宇宙を舞台としたコメディ

マーヴェルといえばキャプテン・アメリカとアイアンマンがメインというイメージが強いが、今作の主役はソーとハルク。その二人がメインでどんな物語になるのかと思ったが、全体としては宇宙を舞台としたコメディだった。

予告編の雰囲気でもわかると思うが、深刻なトーンはほぼなく、随所にギャグが散りばめられている。しかも単純でおバカなギャグが。カラーとしては、同じマーヴェル映画の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に近い。

物語の序盤、ソーとロキ(なぜか生きてた)の二人は久々にアスガルドに戻ってきた姉のヘラに負ける。そして、宇宙の”掃き溜め”みたいな場所に放り出される。だが、幾多の困難を乗り越えて、故郷を目指す。『オデュッセイア』以来の典型的な物語で、誰にでも楽しめる筋書きである。

掃き溜めのアル中女は誰だ?

この映画には、悪役のヘラの他にもうひとり、主要キャラクターとして女が登場する。名前は忘れたが(調べたら、ヴァルキリーというらしい)、こいつがかっこいいし、かわいい。ちょいとネタバレになるので伏せておくが、登場シーンは鳥肌ものだった。

いや、やっぱりちょっと書かせてくれ。こいつが出てくるのはゴミ捨て場みたいな場所で、とある危機的状況のときに出てくる。一升瓶を片手にっ! 個人的に、美しい女がやさぐれて酒浸りになってるというのがたまらない。

ちなみに、演じているのはテッサ・トンプソンというアメリカの女優兼ミュージシャン。現在34歳(もっと若く見えたが)。『クリード チャンプを継ぐ男』にも出ていたようだ。できれば今後、マーヴェルの映画の中でもっと活躍して欲しい。当初、どう見ても端役だったホーク・アイが主要キャラクターに躍進したことを思えば、このヴァルキリーが活躍する可能性もあろう。

バトルロイヤル? ラグナロクでよくない?

この映画の邦題は『マイティ・ソー バトルロイヤル』となっている。予告編では闘技場でソーとハルクが対決する場面がハイライトのように描かれている。実際そのシーンは重要なのだが、けれど、「バトルロイヤルなのか?」という疑問は残る。

「バトルロイヤル」というと、あたかもソーやハルク、何なら他のアベンジャーズまでが剣闘士として登場して戦うような内容を想像するだろう。だが、そうではない。この作品の内容はやはり、原題の「ラグナロク」なのだ。ラグナロクとは、「神々のたそがれ」のこと。つまり、この世の終わりのこと。ギリシャ神話では、巨人族と神々が戦うのだとか。

なので、なぜわざわざ邦題をバトルロイヤルにしたのかちょっと解せない。ラグナロクのままでいい気がする。ゲームなどで「ラグナロク」という言葉はすでに日本人にも耳慣れているのだし。

クライマックスは音楽でアゲアゲ【ちょっとネタバレ】

この映画、全編を通してあまり退屈になる部分はない。しょっぱなからバトルシーンがあるし、随所に派手なシーンがちりばめられている。映像的にも美しい。ギャグはちょっと多すぎくらいてんこ盛りだ。

さらに、後半のクライマックスはすごい。何がいいって、音楽がいい。山場でかかる曲はレッドツェッペリンの「移民の歌」。これがソーの活躍を一気に盛り上げる。

だがこのシーン、多くの人が感じるだろうが、『ワンダーウーマン』にそっくりである。ワンダーウーマンが初登場で活躍したときにかかった音楽は「移民の歌」みたいだったし、そもそもソーとワンダーウーマンは設定も似ている。どっちも神だ。技もちょっと似てる。

『ワンダーウーマン』はDCの映画ではもっとも評判がいいし、実際いちばん面白いと思うが、あの高揚感を味わいたいという方には『マイティ・ソー バトルロイヤル』はとりわけおすすめだ。

まとめ

繰り返すが、『マイティ・ソー バトルロイヤル』は非常に面白かった。「行かなくてもいいか」という気持ちもあったのだが、行ってよかった。迷ってるくらいの人はゼッタイに観に行った方がいい。

なお、これまでマーヴェルという映画を全然見たことがないという不届きな輩は、とりあえず『マイティー・ソー』1作目と『アベンジャーズ』だけは予習として観てから劇場に足を運ぶように。じゃないと、さすがによくわからないだろう(アイアンマンとキャプテン・アメリカは出てこないので無視しておいて大丈夫)。

ともあれ、これだけ最高の映画シリーズを毎年2本、3本と観られるなんて、とんでもない幸せ! もう終わりは決まっているようだが、マーヴェル映画がリアルタイムで観られるうちに見ておいた方がいい。